27.8.26 社会保険未加入対策(法定福利費を内訳明示した標準見積書)

 建設業では、公平な競争環境と就労環境の改善による建設業の持続的発展に必要な人材の確保を図るため、関係者を上げて社会保険等未加入対策に取り組んでいます。

 社会保険等未加入対策を進めていく上で法定福利費の確保が重要となりますが、これまでは、平米単価による見積が一般的で、法定福利費がどのように取り扱われているのかが分かりにくい状況でした。

 法定福利費を内訳明示した標準見積書は、下請企業が元請企業に対して提出している見積書を従来の総額によるものではなく、その中に含まれる法定福利費を内訳として明示したもので、これを活用することで、社会保険等の加入に必要な金額をしっかりと確保できるようにしていこうとするものです。

 法定福利費には健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料がありますが、見積書で内訳明示する法定福利費は、原則として健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料のうち、労働者の事業主負担分です。通常、年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算しますが、各工事の見積もりでは、労働者の年間賃金を把握することは不可能なため、見積額に計上した労務費を賃金として、それに各保険の保険料率を乗じて算出するのが一般的です。また法定福利費も消費税の対象となります。

 下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示され又は含まれているにもかかわらず、元請下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示され又は含まれているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重せず、法定福利費相当額を一方的に削減したり、労務費や他の費用で減額調整を行うなど、実質的に法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果通常必要と認められる原価に満たない金額の場合には建設業法に違反するおそれがあります。

 下請企業に工事を発注する予定がある場合には、下請企業の法定福利費を含めて注文者に対する見積書を作成します。

 詳細につきましては